カラオケが好きで、ステージ用のドレスを何枚も持っているのよ、と嬉しそうに話す。生きがいがあるというのは老いの防止になるから、まことにけっこう。ところが、よくよく聞いてみると、カラオケを始めたのはつい最近のことで、それまでしばらくの間、かるい鬱で、引きこもりの生活を続けていたという。彼女の悩みは深刻だった。「うちの主人、メーカーの下請け工場をやってたんですよ。でも、ほら、バブルがはじけてから大企業は次々と工場を中国に移し始めたでしょう。零細企業はひとたまりもありませんよね。心労で二年ほど前にポックリ先立たれまして、三回忌をすませたばかりなんです。私、寂しくて寂しくて」。というわけで、Cさんは今は独り身。会社の残務整理に追われているうちに、五七キロあった体重が四五キロにまで落ち、げっそり痩せてしまった。