当時、評論家の森本哲郎氏の『読書の旅』という本を読んだが、氏はその中で速読をしてはいけないと戒めている。森本氏が使った速読という言葉の意味は、拾い読みや斜め読み(部分読み)であり、そのような読み方では、つかみとれない部分ができてしまい、正確に理解できないからという理由である。しかも速く読めたとしても、速度は二倍程度にしかならない。それで誤解して読んだのでは、かえって時間の無駄づかいだというのである。これは、部分読みに頼った速読に対する評価としては、まさに的を射ている。私は、この話を読んだとき、博学の森本氏でさえも、ふつうの二倍の速度で読もうとすると拾い読みになり、その内容を正確に把握できないことが出てくる、という点に注目した。たかが二倍と思われるかもしれないが、二倍という速度で読んで理解するということは、それほどたいへんなことなのである。
[参考サイト]
間違いだらけの速読術