「ガラス」と「蝶」と「ファッション」

2010-12-19

ペン立てとして使っているこのカップは複雑なラベンダー色である。細工が凝っていない時代ものだが、丈夫そうで、透明ではないけれども、なんともいえずきれいな色どり。毎日ペンや鉛筆を使うから、そのたびにビル・ブラスさんのことや旅行のことなどを思い出す。パリで仕事をしているときは、たまにラリックの店に立ち寄る。最新の形のいいクリスタルが並んでいるウインドーをのぞいているだけで、透明感が心を洗ってくれる。ひんやりした感触、うっかり落としたらたちまち壊れてしまうだろう繊細さ。それは、ファッションのはかなさそのもののように思える。私は、ガラスを蝶々と結びつけてしまう。そしてファッションも。「ガラス」と「蝶」と「ファッション」、特別なつながりがあるわけでもないのに、自分のなかでは大きな存在感を持っている。うつろいやすく、はかないもの。それを掴みとりたくて、私は今日まで走り続けてきたのかもしれない。