日本の自動車メーカーは、巨大な市場に成長するであろう中国にたいして、現在、独自の戦略を構築しつつあるとはいえ、アジア戦略の焦点はやはりアセアンを中心とする東南アジア地域である。東南アジアは、市場規模では東アジア(とくに中国)と比べて小さいが、これまでの30年近い日本の自動車メーカーの進出実績や、今後の発展の展望からみて、アジア戦略の要の位置にある。タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンの主要自動車生産国を筆頭に、なお発展の可能性を大きく秘めていることがわかる。
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そうした東南アジア市場で、日本の自動車メーカーは90%近いシェアを確保してきているが、市場の拡大や2000年に向けた貿易自由化の動向を受けて、欧米、韓国、現地国の自動車メーカーが攻勢を強めており、アジア市場での競争も激化しつつある。その結果、商用車では高いシェアを維持しているものの、乗用車分野では、日本車のシェアは近年、大きく低下してきている。したがって、日本の自動車メーカーは、今後、東南アジア市場での競争力のいっそうの強化が、アジア戦略展開のうえで求められているのである。各社に共通するのは、より高い部品の現地調達率や開発・設計段階からの現地化、徹底したコスト削減などによってより競争力の高い自動車を生産しようとする動きである。その中心は、「アジア戦略力一」の生産である。日系自動車メーカーはあいついでアジア戦略力一の計画を発表し、その実現に着手しはじめている。