生活に苦しむ庶民の工夫から生まれた【つるし雛】

2011-01-26

毎年一月から三月にかけて、稲取温泉で知られる静岡県東伊豆町では雛のつるし飾りのイベントが開催され、約二〇万人もの観光客が訪れる。つるし飾りでは、はぎれで作ったぬいぐるみを雛壇の両側につるす。飾られる一一〇個ものかわいらしいぬいぐるみが揺れる姿は壮麗で心和む光景だ。ぬいぐるみは、うさぎや柿、唐がらしなど四〇種あり、それぞれが長寿や厄除けなどのいわれをもっている。稲取温泉旅館協同組合によると、このつるし飾りの風習は、もともと雛人形の代わりになるものとして庶民の知恵から生まれたものなのだという。江戸時代、稲収町(現東伊豆町)の農民たちの生活は苦しく、とても雛人形を購入する余裕はなかった。また、家の中に雛飾りを飾る場所もなかった。しかし、かわいい娘の雛の節句を何とか祝ってやりたいと思う親心はどこも同じだ。そこで、石材や米を運ぶために江戸に出入りしていた稲取の人々は、江戸で裁縫技術を学んで帰り、雛人形の代わりに小さなぬいぐるみを作って、つるして飾ったのである。こうして稲取町ではつるし飾りが広がり、代々受け継がれていった。ところが戦後の高度成長期を迎えると、人々に余裕が生まれ、立派な雛飾りに主役を奪われ、つるし飾りは一時姿を消している。その姿がふたたび見られるようになったのは平成六年からで、現在では復活したつるし飾りがふたたびわたしたちを楽しませてくれている。

(推薦)
初めての「結婚祝い」「結婚内祝い」


新婚に人気の「結婚祝い」「結婚内祝い」


「結婚祝い」「結婚内祝い」の基礎知識