これらはもともと、うつ病など、ある程度以上深刻な病気のために働けなくなった人のための制度でしょうが、これがもっと軽症の人にも利用されていることは事実です。これは一概に悪いことではなく、そうした人々にとって、さらには今は健康な人々にとっても、働く上での安心感につながっている面はあるでしょう。しかし、見分けはむずかしいのですが、逃避的な動機で利用されている場合もあることは否定できません。なお、こうした患者は、さすがに障害年金の適応にはならないだろうと考えます。精神科医を含めた、関係者の賢明な判断が必要でしょう。さきに、都合の悪い感情が外在化されやすくなっていることを指摘しましたが、これとともに、他罰化の傾向もあげられます。「上司に暴言を吐かれて、気分が落ち込み(あるいは動悸がして・不安になって)、会社に行く気がなくなった」などの訴えです。あるいは、より広く、自分の周囲にある都合の悪い状況や事柄を「ストレス」とみなし、「ストレスのせいで調子が悪くなった」と訴える傾向がそれです。たしかにそれらも要因の一つではあるかもしれませんが、それが感情や意欲の変化として結実するかどうかは、環境や他人の言動の直接の結果ではなく、本人自身がどう処理するかにかかっています。しかし、そこが意識されることはほとんどありません。そこには、本人の主体性や責任の意識が欠如しているように感じられます。